肛門の構造
肛門は食道、胃、小腸、大腸とつながる消化管の出口で、便やガスの排出を調整する重要な器官です。
肛門科で診る症状
肛門の痛み、痒み、違和感、イボが触れる、膿が出る、真っ赤な出血(下血、血便)
肛門科で診る疾患
痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)、肛門周囲膿瘍、脱肛、直腸脱、肛門掻痒症 肛門周囲炎、肛門癌など
肛門科の診察について
肛門の症状はひとたび症状が出ると、とてもわずらわしいもので、不安になられる方もいらっしゃるかと思います。
お尻の診察を受けるのは恥ずかしい、受診するのが面倒くさい、すぐに手術されそう、手術が痛そう、手術すると入院が長くなる、などの理由で病院へ行くのが敬遠されがちです。
ある調査によると日本人の3人に1人が痔に悩んでいるとの結果でしたが、病院へ受診される方は20%くらいです。
ただし、病院を受診した患者さんの約8割は治療に満足されています。
当院ではできるだけ恥ずかしさの少ない方法での診察を心がけています。
- カーテンで診察台をしっかり仕切る
- 服を着たまま、ベッドに横向きに寝る
- 下着は膝上くらいまでだけ下げてタオルで覆う
- おしりだけを出す側臥位での診察など
症状を放置していると余計に悪化し治療が長引く可能性があります。
早期に治療を始めれば多くは手術せずに治す事ができます。
また出血や血便、痛みを痔のせいと素人判断してしまった結果、実はその原因が痔ではなく大腸がんであったり、がんになる痔(痔瘻)もあります。取り返しのつかない病状になる前に、肛門関連でお悩みの方は一度ご相談下さい。
痔の治療についてもっと詳しく
肛門科での治療
当院では病状により、できる限り手術以外の治療法を行います。
内服薬や座薬、注入軟膏などの薬物療法
内痔核に対して四段階注射法による硬化療法(日帰り治療)
病気を治すには患者さん本人の治癒力や免疫力が最も大切になります。
薬や注射の治療はあくまで補助的なものです。生活習慣や排便習慣の見直しやアドバイスもいたします。
肛門に優しい生活習慣
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毎日お風呂に入る
シャワーだけで済ませず、湯船につかりお風呂に入る事で、血行が改善し肛門部が清潔に保たれるので肛門疾患の予防となります。
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排便時は長時間、過剰にいきまない
排便時、長時間、過剰にいきむと肛門部がうっ血(血が溜まる事)し、うっ血部分が破れて出血を起こす事もあります。
便が残った感じがあっても1回のトイレで5分以上粘らないようにしましょう。ある程度のところで一旦諦めて時間をあける事も大切です。
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便秘・下痢を避ける
便秘により便が肛門部を圧迫し血行が悪くなります。硬い便が排便時に肛門を傷つけ裂肛や感染症の原因となる事もあります。
便秘にしても下痢にしても何回も過剰にいきむ事で直腸粘膜や肛門部に圧力や刺激が加わり、肛門に負担をかけてしまいます。
便秘について下痢について
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長時間同じ姿勢で座らない
肛門部分がうっ血してしまいます。
立ち上がりストレッチするなど時々運動して、同じ姿勢を続けないようにしましょう。
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適度の運動
軽い運動は肛門部の血流や腸の動きを改善しますが、お腹に力を入れたりお尻に力の入る激しい運動は控えた方が肛門にかかる負担も軽減されます。
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お酒・香辛料・たばこなどの刺激物は控える
アルコールや香辛料の過剰摂取、喫煙は肛門の血管を刺激し、充血や炎症を引き起こします。刺激物は極力控えましょう。
お問い合わせ
恥ずかしがらず、恐がらずに肛門疾患でお悩みの方は一度受診ご相談ください。
当院ではきるだけ恥ずかしさの少ない方法での診察を心がけ、患者さんと相談した上で治療方針を決めてまいります。
当院には島原市の方々をはじめ、雲仙市や諫早市、南島原市にお住いの方も外来診察や内視鏡検査の受診目的でご来院して頂いています。
文責:土井 康郎